2010年1月23日土曜日

IMF、あります。

一月も残すところあと一週間です。時がたつのは速い…time spent like an arrow! 先人の表現力には感嘆します。えびすも歴史に残る名言・諺を残したいものです。
思えば去年の一月下旬は、世界経済がどん底にあったときです。激しい円高、株価の下落、企業の赤字…世界中が暗いニュースで蔓延していました。9月にはいってから、徐々に明るいニュースが増え初め、今年に入ってからは中国の成長を先導に世界経済が立ち直りつつあるとか。うーん、どうなんでしょう。えびすはかなり懐疑的なんですが…最近はマクロ的な経済のサイクルですらも速くなっており、予想がたてにくいこと限りなしです。

さて、えびすによるテキトーな世界経済の前置きを経て紹介する本はこれ。

IMF - 使命と誤算

IMFはブレトンウッズ体制の下、過去の大恐慌に対する反省から、戦後の世界経済の安定的発展を目指して、世界銀行IBRDと共に設立された。IMFの使命は国際通貨体制の秩序回復を図ることである。基本的に加盟国が出資する基金方式で運営されている。

IMFは至上命題として財政支出の大幅な削減など緊縮政策を実施する。しかし、財政支出の削減は、雇用の消失・消費の低迷を引き起こす。結果として、財政収支が悪化してしまう。以下に代表的なIMFのプログラムを示す。

アルゼンチンのカレンシーボード制;米ドルvsペソを一対一に固定。施行当初は、ハイパーインフレを抑えることに成功したが、その後、通貨固定の解除を行わなかったため、ペソ通貨の実質高による輸出競争力の低下が徐々に産業に現れはじめ、加えて経済自由化のもとおこなわれた財政支出の抑制のため、外貨の流動性が低下、債務危機に陥る。)

アジア通貨危機政策;経常収支の赤字を海外からの短期民間資金で補填していたため、次第に通貨価値が下落、海外の民間資本がいっせいに流出し、下落に歯止めがかからなくなる。IMFの介入により、通貨の安定を図るも、実質的な通貨高のため、輸出より輸入の比率が圧倒的に高く、自国の産業は潤わない結果となった。

資本取引・金融自由化を早い段階で実施すると、途上国では経済変動リスクを高め、安定的な経済成長への足かせとなってしまうのがよくわかる。また、緊縮措置による社会構造の変化、貧富の拡大により社会経済面での損失も被るおそれがある。その後のアジア各国は、IMFが執った財政の緊縮政策ではなく、通過価値を下げかねない金融緩和措置をとり、経済を持ち直すに至った。今後IMFは各国の経済状況の遷移に合わせた政策を行い、実績・信頼を残していかなければ存在意義を失うことになるだろう。

IMFと聞くと、財政状態が悪化した国を立て直すプロの集団のようなイメージを抱いている方が多いのではないでしょうか?でも、実際に彼らのプログラムは、その場しのぎの政策が多く、段階的に政策方針を変えていくようなものではなく、失敗続きらしいです。勿論、IMFのプログラムに全ての非があるわけではないでしょうが…。近年はIMFの強制的な政策を嫌って、地域間で(EU間、アジア間)外貨準備を整備する政策も執られているようです。今、IMFには抜本的な改革が必要なのかもしれません。今後10年の内に何らかの結果を残さないと、IMFの存在意義は消失してしまうような気がします。

※国単位で見る最近の経済危機といえば、ドバイでしょうか。オイルマネーで流入資本がうなぎのぼりに増加していた国ですが、リーマンショックに端を発する不況により、産業の冷え込み、原油価格の下落、オイルマネーの流出が合わさって、瞬く間に債務価格が増加してしまいました。今回の件でIMFIBRDは介入せず、隣国のアブダビが支援を行うとのことです。うーん、IMFの存在意義がますます薄れていっているのは間違いないようです(ちなみにIBRDは成功モデルをたくさん輩出していますので、チェックしてみてください)。