2010年2月12日金曜日

新しいCMに思うこと

さて、昨日、「だいぶ暖かくなった」と書いておいて、その翌日にぐーんと気温が冷え込んでしまい、あれまぁどうしましょうと懺悔の気持ちでいっぱいなえびすです。適当なこと言ってすいませんでした。

平謝りもほどほどに、今日はCMについて少し考えたいと思います。

部屋にテレビが無い生活を始めて、もうすぐ1年になります。昔はニュースを聞き流すためにテレビをつけていましたが、最近(とはいっても1年近く前ですが)はニュースもネットで十分だと思い至り、スパッとテレビを見ない環境に追いやりました。おかげさまで、テレビを視ていた・聞いていた時間を読書や執筆の時間に割くことができ、「充実した時間」を過ごすことができております。

しかし、テレビにも良い点は沢山あります。NHKの番組は質が高いですし、民法の番組でも面白いものはあります(朝まで生テレビが大好きでした)。でも、何よりもえびすを引きつけるのは、TVCMです。「だれがこんなCMを思いつくのだろう」と感嘆するCMがたくさんあります。ブランドのイメージであったり、商品販売の戦略であったりとCMに内包されている「コンテキスト」を探ることは非常に面白い。なんで、しばしばYouTubeで最新のCMチェックをしています。で、ちょいと気になるCMがあったのでそれを今日はご紹介。

えびすが気になったCM、それはIntelCMです。ちょっと前に、セントリーノのCMがあったのを覚えてますか?あれは企業の販売戦略としては失敗だったでしょう。何が言いたいのかわからない。何をやっているのかわからない。視聴者の生活と結びついているのかもわからない。あそこまでいくと、のれん価格の高いIntelのブランドネームも雲散霧消です()
で、酷評の後に、喝采を送るわけであります。
最近流れている少し長めのCM、そこではIntelの高性能プロセッサーがあるとどんなことができるのかを視聴者にわかりやすく説明しています。写真の整理や加工、映像の編集、サイトのダウンロード時間etcIntelのコアが搭載されている新しいパソコンを買うと、こんなにも素晴らしいことができますよ!と視聴者に情報提供してくれます。いやはや、言いたいことが明確だし、何をやっているのかもわかるし、視聴者に付加価値を提供できている。すばらしいCMです。Intel、恐るべし。

さて、同じ様なCMSONYAppleがしたとしても、えびすは何も関心を示さないでしょう。なぜIntelだけ褒め称えるのか…その理由は、Intelという企業が市場でどのような位置づけにあるかを考えればわかります。そう、IntelB to CではなくB to Bの企業なんですね。

従来までならば、B to Cの企業が積極的にCMをながし、消費者へ商品の魅力を訴えてきました。その影で、B to Bの会社はのらりくらりと商品に必要な部品・材料を卸し、CMなど流す必要はなかったのです。上工程がどれだけ頑張っても、下工程である最終製品が売れなきゃB to Bの企業は利益があがらない。直接的に利益に繋がることがないならば、CMなど流す必要は無い。そういった考え方が古くからまかり通ってきたのでしょう。

しかし、今回のIntelCMはそんな従来の考え方を覆す戦略を内包しています。
CMに隠された戦略、それは「母数の拡大」です。SONYApplePanasonicにSamsung etc…多くのB to Cの企業は「自社の製品を買ってもらうため」にCMを流します。そう、「シェアの争奪戦」がこれらの企業では行われている。それに対し、Intelは上に挙げた「すべての企業」に製品を卸している。つまり、どの企業がどれだけの売上・シェアを獲得しようと関係ない(もちろん、契約条件により利益が大きく取れることもあるでしょうが)、望むのは、「全体の販売台数の増加」です。つまり、市場そのものを大きくすること。これこそIntelの持続的成長には不可欠な要素なのです。

Intelが提示してくれた、新しいCMスタイルは、今後さらに広まるでしょう。とりわけ、グローバルに展開しているB to B企業が多い日本の社会において、Intelと同じ様なCM戦略をとる企業が出てくる可能性は大きいでしょう。

※ちなみに、デンソーや旭碍子など、B to B企業がCMを流している例は幾つか見受けられます。しかし、「今」消費者につながる製品とリンクさせてCMを流している企業はおそらく「いない」でしょう。CMが放映されている時間帯などにも注目すると、その企業が意図する戦略がみえてくるものです。