FREEの裏側をどこまで考えているのでしょう?
岩瀬大輔さんというかた(ある方面では著名な方です)の「生命保険のカラクリ」という新書が、文藝春秋から無料でダウンロードできるみたいです。半歩先の精神として、今回の無料配布に踏み込んだらしいのですが・・・いささか、僕には岩瀬さんと文春が描く展望がいまいちつかめない。無料配布によって、冊数が伸びるというモデルらしいですが・・・どうでしょうか。すこし、分析したいと思います。
まずは、無料にする書籍の観点から。
FREEはその内容が「無料」に関するものであり、オンラインダウンロードとのパッケージ戦略として、申し分ありません。読者は、ダウンロードによる「無料体験」を通じて、本当に『書籍一冊が丸ごと手に入った』という、読書+αの経験を積むことができます。その経験は、書籍の内容と直結するものであり、相乗効果が見込まれます。また、メディアの取り上げ方、消費者への宣伝においても、無料という軸がぶれないため、ストレートかつわかりやすく内容を理解させることができます。著者自身が運営するWiredも、無料で様々な情報を配信しており、サイトの宣伝=広告収入のUPにもつながります。一方、「生命保険」ではどうでしょうか?そもそも、保険はお金がかかるものです。それに関する内容の書籍を無料配布することの戦略がよくわかりません。くわえて、保険は多くの人が既に加入しており、母数が増えることは望めません。では、何を狙っているのでしょうか?単純に考えれば、保険の乗り換えでしょう・・・え、単純すぎ?すいません。それぐらいしか思いつかないです。
次に書籍の厚さについて。
「FREE」は350ページを超えるハードカバーの本です。取り上げる内容は誰もがとっつきやすく、わかりやすい内容ばかりであり、「次のページが読みたくなる」そんな書籍であります。しかし、幾分ページ数が多い・・・まとめて読もうとすると、結構疲れるので、書籍で読みたい・・・そういった声が聞こえてくるのは創造に硬くありません。一方、「生命保険のからくり」は230ページ程度の新書であり、FREEのページ数で換算すると、200ページ弱程度。本好きならば2時間で読めるぐらいの内容です。はたして、ダウンロード後に書籍を手にする人はどれほどいるのでしょう?
個人的には、ダウンロードとのパッケージ戦略をとるのならば、比較的厚みのある書籍(中身もあることは大前提)で行うのがtheoryな気がします。そして、内容を7章以上に分けて、各々の章をさらに細かく分けたほうがいい。「分厚く多くの章に分かれていること」+「先が面白いと思わせる構成と内容のコンパクト化・断続化」こそ、パッケージ戦略の秘訣ではないかと思います。
※ちなみに「生命保険のからくり」の書籍内容は結構面白いと思います。マイケル・E・ポーターの書籍「医療戦略の本質」で取り上げられている、「保険会社が行うべきイノベーション」の内容を掘り下げた感じでしょうか。筆者が言うように、一家に一冊あっても損はないと思いますんで、是非購入いたしましょう。これを契機に、多くの新書が無料となれば、僕としては嬉しい限りですから(笑)。