いよいよ夏らしくなって参りました。軽く熱中症気味の状態で東京にのりこんだのですが…いやはや、結構堪えました。アスファルト張りの道路、反射率の高い高層ビルの窓ガラス、自動車の熱い排ガス…炎天下のもと動き回るのは危険であります。このような環境にあっても元気に遊びまわる子供達をみると…もう子どもじゃないんだなぁーと身をもって痛感致しました。いやはや、肉体的に歳を重ねる哀しさに打ちひしがれるばかりであります。でも、しっかりとケアすれば、肉体的な衰えは防げるんでしょうか?どこかのプロ野球選手は四十弱にして二十代の肉体をもつとか。現状の体力を維持していきたいものであります...まだ二十代なんですけどねぇ。
さて、今日ご紹介するのは東京フォーラムで開催された日経ビジネスのコンベンション。虚ろ虚ろになりながらも、根性で書き取った議事録。内容に多少の齟齬はあるかもしれませんが、そこはどうぞご勘弁。
『新たな100年に向けて~ハーバード大学 アマルティア・セン教授』
グローバル化が急速に進展するとともに、世界の経済も発展してきた。とくに戦後の世界経済の発展は海の向こう側での生産と消費を原動力としてきた。しかし、その結果何が起こっているか?富の偏在、少数民族の迫害、テロ…今、世界はひとすじ縄では解決できない様々な問題に直面している。そんななかで、日本人が果たしていくべき問題は何か。
セン氏が我われ日本人に期待すること、それは「日本のエートス」を国を越えて拡げて欲しいということである。素晴らしい心もちを自国内でくすぶらせているのは勿体無い。対話・協調をベースに置く日本人のコミュニケーション能力は世界で十分通用するものであり、今、世界が最も必用としている能力でもある。ではなぜ今それが必用なのか?
成長著しい新興国の多くが経済発展のモデルとしてしばしば日本を適用している。勿論、ここでの日本は経済成長が著しかった過去の日本であり、経済成長が低迷した状態の現在の日本ではない。戦後の日本経済の成長は凄かった…何せ、二十年そこらでドン底からトップ層にまで躍りでたのだから。大きな躍進を可能なら占めたものとして、セン氏は日本のエートスを引き合いに出す。謙虚で慎ましく、対話を重ねることで長期にわたり安定した経済・社会基盤を築いてきた。
しかし、昨今の新興国では日本のように安定した経済・社会基盤を築けないでいる。その背景として、十分な議論・対話がなされないまま、目先の利益に踊らされた政策を進めている国家、私利私欲に走り、弱者を搾取・排する経済活動があるのは間違いないことだろう。ここに挙げた事項はまだ小さなシミ程度かもしれない。しかし、グローバル化と経済発展が一層進むことを鑑みれば、新たなシミがぽつぽつ現れ、やがて大きなシミとなり取り返しがつかなくなってしまう可能性は往々にしてある。
この流れを食い止めるのは重要なことだ。それは何も当該国だけに当てはまることではなく、広く世界全体に当てはまることである…上述のような方針をとるように促している、その責の半分以上は先進国にあるのだから。そして、この流れを食い止めるためには、対話・協調をベースに置く日本のエートスが非常に重要な位置づけをなす。
今、日本に求められるのは「国を渡った場へ足を踏みこむ積極性」だ。素晴らしい日本のエートスも、世界に伝播できなければ、宝の持ち腐れで終わってしまう。恥ずかしさをすてて、自信を持って海外に歩を進める日本人がたくさんでてくることを期待する。世界の方向性が変わることなく今のまま続いて行くと、近い内に世界が崩壊する可能性は非常に大きい、これは間違いないことだ。
※素晴らしいお話を聴くことが出来ました。出席者の大半は30代後半から50代前半の方々が多かったように思います。ただ、講演の内容は、非常にわかりやすく、為になるお話ばかりでした。若手の方々のカンフル剤にもなるのではないかなと思った次第であります。講義の一枠として、こういったシンポの聴講をいれれば、学生の日本・世界の未来に対する意識も少しは変わるんじゃないかなぁ…。