2010年7月9日金曜日

How best partner should be?

7月もまもなく半ば。いよいよ夏がやってきます。電気代がかさむ昼間は、近所の図書館・スタバ(稀に美術館)で時間をつぶしていた学生時代…いやぁ、あのころの生活にもうすぐ逆戻りするかと思うと楽しみでなりません。東京ほど贅沢極まりない街は、世界に二つとないのでは?と常々思う次第です。

さて、本格的な夏を前に、シェイプアップを目論見つつも、時既に遅しであることに気付いて断念してしまう駄目男えびすが紹介する一本はこちら。

商品の詳細

Vogue編集長アナ・ウィンター。ファッション業界に活気を持たせるには二つのエンジンが必要となる。一つ目が創造主”デザイナー”というエンジン。二つ目が破壊主”エディターというエンジンだ。デザイナーは、無から美しい有を生み出す存在という意味で創造主であり、エディターは数ある有のうち、最も適した有以外をばっさりと切り捨てる存在という意味で破壊者である。

本作に登場するアナはおよそ、世界でも指折りに入る破壊者であろう。自分の感性にそぐわないルックはバッサバッサ切っていく。本人は「納得のいかない出来にいつも怒りを抑えている」と語るが、およそ、Vogueのスタッフが用意するルックはどれも、超一級品である。しかし、アナは満足しない…裏を返せば、限界を見ようとしない。妥協は最後の最後にするものであり、初期の段階でOKを出してしまったら、よりよいものが生まれる可能性が摘まれてしまうことをアナはよく理解しているのだろう。限界まで挑戦すること…これはファッション編集者の分野に限らず、全ての分野でinitiative(主導権)をもつ人たちに共通する素養であろう。

さて、一流の人は己の仕事にスイッチが入ると、目つきがガラッと変わるのはよく知られたことだ。アナも例外ではない。とりわけ、一人の判断が会社・業界の未来を左右するような場面で彼女が見せる鋭い目つきには、「なるほど、自身と野心とが織り交ざった時に、こういう目つきを手にするのか」と思わされた次第だ。

業界の未来を考えるにあたって、若手を育成することは重要だ。本作の中でも、若手のデザイナー(タクーン)に大きな仕事を与え、彼ら自身の力だけでは手にすることの出来ない「場」を積極的に創り提供している。この姿勢は素晴らしい。上からの一方的な目線(あんたのブランドを紹介してあげる)ではなく、周囲の目線と下からの目線と未来への視線をしっかりと汲み取ること、アナはその重要さもしっかりとわきまえている。下の世代あってこそ、未来が描けるもの。これはどのような世界にも当てはまることであろう。自身の力を存分に発揮すべき場と、他の力を存分に活かすべき場を察知する能力においても、アナは卓越しているといえよう。

最後に、この作品は「アナ一人」に焦点を当てたというよりは、「アナとグレイス(アナの右腕兼左腕)」の補完しあう二人の天才を主軸として編集されている点、付記しておこう。最高の作品(雑誌)を作るのは、一人の編集者の力だけでは到底無理である。周囲に優秀なエキスパート・パートナーたちがいて、切磋琢磨して、はじめて素晴らしい作品が出来上がる。仕事における生涯のパートナーと出逢うことができること、それだけでも幸せなことだと思い至った次第だ。

※さて、本作の主役である「アナ・ウィンター」は「プラダを着た悪魔」のモデルだといわれている名物編集長です。結構なわがままなんですが、「プラダ」でメリルストリープが演じたほど、他を圧倒・罵倒するような態度をとるような人物ではありません(カメラの前だったからかもしれませんが)。厳しいといっても、人格を否定するような厳しいさではなく、その人が今後更に活躍できるように、殻を破れるように助言を投げかける「真心のこもった厳しさ」であります。日本企業にみる厳しさと、外資企業に厳しさ…その違いを鑑みることができるかもしれませんね。ちなみに、外資企業で「You are stupid! Don't show up until I calm down!」といった類の言葉を用いると、訴訟問題に発展しちゃうみたいです。Globalに事業を広めようとするならば、こういった文化的な面も、しっかりと教育していかなければいけないんでしょうねぇ。