さて、しばしば街を自分の足で闊歩していると、色々な変化に気がつきます。ビルが一棟なくなって駐車場になっていたり、歩道が綺麗に整備されていたり、新しいお店に変わっていたり…これだけめまぐるしく変化するのは東京だからこそ。生きているうちに、様々な形の栄枯盛衰を感じ取ることができるのもこの街の魅力だと思います。
さて、街の栄枯盛衰を自身の栄枯盛衰に重ね合わせ、寂しさと焦燥感を覚える日々を過ごしているえびすが紹介する本はこちら。
おそらくビジネスマンならばこの書籍のタイトルを一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。ビジョナリーカンパニー(以下VC)-時代を超える生存の法則-では、時代を超えて際立った存在であり続ける企業にスポットライトをあて、経営・歴史・社内統制について徹底的に分析・解析したものであった。VC2-飛躍の法則-では、ごく一般的な会社が、超一流企業へと躍することができた要因について、分析・解析したものであった。そして、今回のVC3-衰退の5段階では、輝かしい業績をあげていた企業が、一転急転直下の経営不振に陥る要因について分析・解析している。
衰退の五段階とはいったいどういうものか以下に順を追って説明しよう。
第1段階では、自分たちの成功を運によるものなのか、それとも確固とした技術・経営力によるものかを分析せず、傲慢な状態で利益追求を繰り返す。そして、とくにこれといった戦略もなく、ただ商品の拡販による利益の上乗せを図り始めるのが第2段階だ。第1段階を経てこのビッグウェーブに乗った企業は、有頂天極まりない経営状態にあるに違いない。
その後も拡販による利益の上乗せを追及ぐる企業は、利益の伸び率が鈍ってきていることに気付こうとしない。市場飽和によるものなのか、それともライバル企業の躍進によるものなのかを詳細に分析することなく、依然として拡販路線を貫く。これが第3段階である。企業のりえきがいよいよ落ち始め、次の戦略をとるに際して当初の偉大さに戻る道を選ぶのか、それとも一発逆転の道を選ぶのかを、経営者が判断しなければいけないのが第4段階だ。およそ、一発逆転を狙った企業で長期にわたって利益が安定・上向きに振れる結果をだした大企業はいない。
第4段階で業績を安定・上向きにさせることができなかった企業は消滅への道しか残っていない。第5段階は、第4段階でとった戦略が結果として現れるにすぎない段階であり、ここでどうあがこうとも、もはや手遅れというわけだ。
本書を一読した人は、当たり前のことしか書いていないじゃないかと思う人もいるかもしれない。確かにその通りだと私も思う。しかし、本書が価値ある一冊である点は他にある。それは、しっかりとした基準のもと、データ分析を行っている点だ。むやみに色々なデータを持ってきて、適当な傾向を見出し、さもありなんといった分析とは一線を引いてしかるべきである。
※書店では平積み状態で大々的な宣伝がされている本書。しかし、先の二作品と比較すると、ちょこっと物足りないのは事実です。でも、世の中には珍しく「失敗する道筋」を詳細なデータとともに示してくれたという点では非常に有益な本でありました。世の中に「失敗学」に位置する学問があってもいいようなものですけどね。失敗ほど参考になる例はありません。そして、その数が膨大に昇るものもありません。ふむ、ちょっと誰か立ち上げてくださ~い…他力本願ですいません。
