久しく更新が滞っており大変恐縮であります。ここ2週間ほどは、土日の境もないほどに忙しない毎日を送っております。まったく・・・楽しくて仕方ないですね。人間打ちこむ何かがあると、生き生きとしてくるものであります。端から見ると、えびすはかなり輝いているとか。もちろん、キラキラ輝くのではなく、ギラギラ輝いているようです・・・本人には全く自覚がないんですけど。
さて、忙しさにかまかけて、読書スペースが落ち気味な日々に少し葛藤するえびすがお送りする書籍はこちら。
広告大手電通や博報堂などからは、本当に様々な書籍が出ているのだが、今回は広告大手のうちではちょっと珍しいADKから発売されている書籍を紹介したい。
トリプルメディア、あまり聞きなれない言葉だが、この3つのメディアは次のように表現されている…買うメディア(Paid Media:PM)と所有するメディア(Owned Media:OM)と評判を得るメディア(Earned Media:EM)。PMの媒体として、新聞の広告やテレビのCMがある。ここを起点としてお客さんが生まれると考えるのが本書だ。そして、PMで興味を持った人たちが次に手を伸ばすのがOMとEMである。OMの代表例は自社サイトであり、広告を流す・情報を流すにあたりお金をそれほど必要としないのが特徴的だ。ここで大きな興味を持ってもらうと、お客さんは顧客へと階段を一歩上る。EMの代表例は ブログやSNS、新聞記事である。こちらもお金を使わずに情報を流しているという点ではOMと同じであるが、ただ、第三者目線からの判断という点からの評価が加わるため、このメディアを通じてお客さんになる人は、ファンにまで昇華する人が多い。
ただ、最近はいきなりEMからお客さんになるというケースも増えている。この根底にあるのがバズマーケット(口コミ)だ。友人・知人・同僚を介して、最初に「どこどこのお店・商品がいい」という情報を仕入れる。興味を持った人がインターネットのブログや楽天の評価などを参考に、そのお店・商品の評判を検索し、評判が高いようなら足を運んでみよう・買ってみようと思うに至る。本書ではこの点をそれほど重要視していないように見えたが、このマーケットはかなり大きい。先のウーマンエコノミーの書評でも紹介したように、女性はマーケットの6割を占め、かつ口コミによる評判を信じやすいたちにあることからも推測できよう。私としては、PMと並列して生の口コミメディア(Buzz Media)をPMと並列して置くと、よりマーケットの流れが読みやすいように思える。
書籍の後半には、「社会事・仲間事・自分事」に重きをおいて、マーケットの変遷を時代を追って分析している。一昔前は「社会事・仲間事」までしか考慮に入れなくても、商品は売れたのだが、近年はこれらに加えて「自分事」まで織り込んだ商品を売り出さないと、消費者は手を伸ばしてくれない。この分析結果は博報堂の「自分ごとだと人は動く」の分析と同じ方向性をもっている。個々人の趣味・嗜好をいかに汲み取るかが、マーケットシェアを獲得するためのkey pointとなる。ただし、個々特徴ある商品の展開は、資金面でかなりの負担を要するため、大企業以外は手をつけられないのが現状だろう…察するに、比較的規模の小さな企業の未来は暗く映ってしまう。
しかし、小さな企業には小さな企業にしかできない商品展開があるのも事実だ。自分・自社が得意とする小さなマーケット=ニッチマーケットに集中的に商品・人材を投下すれば、資本が少なくても一段と成長することができる企業も出てくるはずだ。とりわけ、今後のグローバル化を視野に入れた販売戦略をしっかりとたてれば、一層の利益を創出することができるだろう。グローバルなニッチ市場を前提に考えると、今の日本マーケットにおける「自分事」のニーズは、いいたたき台になっているのではないだろうか。日本人の先見の明はあなどれない。
※電通・博報堂やそこに所属している人の出す書籍に比べると、若干インパクトに欠けますが、現状のマーケット構造を俯瞰するという観点から本書を評価すると、十分に納得・満足のできるレベルの内容でしょう。マーケティングに興味のある方はどうぞご覧になってくださいませ。
あ、あと、本書の最後のほうに面白い商品があったので紹介しておきます。いずみ産業の「美墓」です。いやはや、死後の世界にまでマーケットのフレームが広がっているとは思いもよりませんでした。いろんな意味で勉強になりますね。
