2010年9月24日金曜日

First of all, we must consider "the" point.

最近は専らユニクロで服の調達を済ませているわけでありますが、これが中々に素晴らしいできばえでありまして・・・。以前(5年ほど前)はもう少しデザインがやぼったかったのですが、最近はかなり洗練されてきたように感じます。しかも、日本発ブランドのわりにシャツの袖が意外に長かったりして重宝しております・・・ん?気のせい?多分僕の腕の長さが縮んだんでしょう。おまけに、洗濯しても自然乾燥で皺がほとんどなくなりますし・・・値段良し、品質良し、デザイン良し、手軽さ良しの4良しの製品を卸せるとは。乱立するアパレル会社はますます厳しい環境に追い遣られそう・・・。景気が回復すれば、もう少し違った流れも生まれるのでしょうけれど、その見込みは・・・いやはや厳しいこと限りなし。

さて、お洒落センスが低く衣服の大半をユニクロのコーディネートで済ませ、女性から「ダサ~い」という声受けるも全く微動だにしないunfashionable弁慶えびすが紹介する書籍はこちら。

商品の詳細

本書は前回書評した仮説思考の姉妹本に当たる。振り返って、仮説思考の内容はどういったものであったか?簡単に記すと「問題の解決にあたって、まず始めにどういった解決方法があるのかを仮説をたててから問題に取組みましょう」というものであった。では論点思考の内容はどういったものか?これも簡単に記すならば「事象に対して、解決方法は色々かわってくるよね。つまりは事象のとらえかたはTPO・会社の意向に応じて変わるので、その時々に最適な課題設定をたてましょう」といった内容だ。前者が課題解決に焦点があてられている一方、後者は問題設定に焦点があてられている。では論点思考と課題設定の間にはどういった関係があるのであろうか?その内容を少し掘り下げて紹介していく。

何事も事象がまずあるのだが、その事象に対する論点は何通りもあり、それに伴って様々な課題設定をしなければならないことを順を追って示していこう。例えば会社に泥棒が入ったする。そして、【泥棒が入った】という事象に対し、幾つかの論点が湧き上がってくる。
1.防犯体制に不備があった。
2.設備の破壊・商品の盗難による損害が発生した
3.盗難にあったことが報道され、イメージダウンにつながった
ここで示した3つの論点に対する打ち手=解決に至るための課題の設定は、それぞれ次の通りとなる。
1.防犯体制の強化
2.損害額の算定と損益への影響
3.報道インパクトへの対処
同じ事象に対して、企業がどういった論点に重点をおくかにより、課題設定が様々に異なってくるのが理解できる。様々な論点を設定できることで、問題を多角的にとらえることができるわけだ。論点思考とは、問題に対して様々な論点を洗い出し、課題を設定する思考力をいう。

「なんだ、論点思考なんて大したものじゃない」と考えてしまいがちだが、それは大いなる間違いであるとすぐに気付くだろう。一度、身近にある事件を【事象】のみから考えてみると、その難しさがわかるはずだ。無能な私の例で恐縮ではあるが、自身、大学の研究・企業の研究生活を振り返って、この論点をたてる難しさを痛感している。事象は容易に理解できるのだが、その事象に対し、どういったアプローチを取るのか(=論点の洗い出し)を考えるのは本当に難しいことであったと記憶している。著者は、頭の中に多様な分野の「引き出し」を持つと、論点設定においてその引き出しが非常に優位に働くと述べる。引き出しが多いほど、一つの事象を多角的にみることが出来るからだ。
確かに引き出しが多いと、物事を多角的にみることができよう…しかし、逆に引き出しが多すぎるがゆえに迷いが生じるのではないかという疑問も生じる。この点は著者も考慮しており、論点思考の主題はここにあるといってもよい…つまり、【いくつもある論点の中から、いかに正確な論点を抜き出してくることが出来るか】ということこそ論点思考の幹にあたろう。

正確な論点を抜き出してくるにあたり、著者は「経験知」が重要であると述べる。この経験知は、問題に対してどの引き出しを持ってこればよいのかを判断する際に必要となる【直観的な知】であり、読書や人の話を聞くといった行為によってのみでは身につかない代物だ。頭の中に作りあげた引き出しを現実の世界で適用し、それによってどのような結果が出るかの仮説をたて、実証・検証し、幾度も再現性よく適用可能であるという経験を積み重ねて身につくものである。論点思考は一朝一夕には獲得できない、何とも歯がゆく生唾ものの思考力である。

How to 本にあるような、明日にでも身につく能力ではなく、地道に長い年月をかけて、自身の経験と努力の積み重ねが築き上げる能力があって、はじめて周りの人との差別化がはかれるわけだ。自己満足で終わる知識の蒐集ではなく、現実世界への知識の適用・応用を積み重ねること・・・口で言うのは簡単だが、実行するのは至難の業だ。しかし、これを積み重ねて得られるものは、ビジネスはもとより人生においても非常に有益な「何か」をもたらしてくれるに違いない。

※さて、本書は仮説思考に続いて自身の研究員次代を彷彿とさせられる書籍でありました。問題があって課題がある。問題それ自体はどちらかというと事象に近いものであり、その問題を解決するために様々な課題があるというわけです。で、色々な課題を設定するためには「引き出し」の数がたくさん必用なわけでありまして・・・。その引き出しを増やすためには、経験知が必用なわけでありまして・・・。極論言うと、よく見てよく学び、よく活用せい!ということですね。ビジネスマンは勿論、理系の学生にも是非とも読んでいただきたい書籍です。まぁ、大学院生には不要かもしれませんけれど。