頭の中では上手くいっていたのに、実際に表に出してみると「あれ?」といったこと、結構ありますよね?いかに完成度の高いものを作ろうと、最初のそれはしょぼいものにならざるを得ない。どこかの借り物であるならば、問題ないのでしょうけれど、全くのオリジナルであるならば、それはそれは結構な労苦を要するものです。まぁ苦ではなく快を感じるヒトもいるのでしょうけれどね。リバイスは大切ですね…それは物の世界に限ることではないとひしひし実感しているところであります。
さて、自身のリバイスに励むも、リバイス後の像がなかなかすんなり収まらないことに葛藤を覚えるオトコえびすが紹介する一冊はこちら。
東京都市再開発はいつまで続くのだろうか…ここ10年ほどの大規模再開発として、六本木ヒルズ(2003)・東京ミッドタウン(2007)・赤坂サカス(2008)があげられる。大々的な宣伝効果もあり、どの施設も来客数はかなりの数に昇ったと聞く。私自身も上記に上げた某巨大複合施設の一部にて働いていた経験もあり、そこに集まるヒトの数には圧倒されたものだ。一日に10万人が、「来る」という意識をもって訪れるのだから、それはそれはもの凄いエネルギーである。そこに湧きだす「熱」たるものは、駅の混雑のそれとは大きく「質」が異なる。意識の執着点のポジションにいてこそ、感じ取れたことなのかもしれない…大変貴重な経験を積むことができたのは幸運だった。
さて、そんな熱狂を生み出す都市開発であるが、その成功・失敗はしばしば議論されるところだろう。しかし、その評価軸をどこにおくのかは難しいところもある。地域貢献・社会インパクト型であれば収入はぎりぎりでもOKだろうし、完全利益追求型であれば(ほとんどはこれに属するのだろうが)、その利益額で成功・失敗を判断するところである。ただ近年の都市開発は双方の型を完備するようなモデルで開発が進められているのは間違いない。本書には今後進められるであろう都市開発計画が多数収められている。東京スカイツリー、日本橋、京橋、大丸有、御茶ノ水、環状二号線、渋谷…プロジェクトの戦略・主眼はどれも興味をそそる計画ばかりだ。
なかでも三菱グループのお膝元、大井町~丸の内~有楽町に渡って勧められている再開発プロジェクトは壮大だ。オフィス街としてのイメージが強いが、実は古い歴史をもつギャラリーや三菱一号館美術館、さらには大学の進出など、アートシティとしての魅力も十分に持ち合わせている。そして、何より無料のシャトルバスが運行されている点、他の街とは一線を画すといってよい。現状は丸の内エリアと日本橋エリアの二つに限られているが、今後の再開発にあわせて拡張(特に皇居方面)していく可能性は十分に考えられる。シャトルバスは観光客にも人気で、新しい街つくりにおいては欠かせないものとなりそうだ。
他にも働く女性のための保育所完備や地下通路を活かして地上階に出ることなく移動ができる計画なども盛り込まれている。森ビルの社長が構想する「vertical garden city」の前駆モデルとしても参考にすべき点は多いに違いない。
※都市開発たる言葉を、大学4年生になるまでまったく知らなかったのですが、一度その内容を知るやぐいぐい引き込まれてしまいました。ここまで壮大なプロジェクトを計画できるものとは…。もっと若くしてこの世界の魅力を知る機会があれば、建築の世界に足を踏み入れていたかもしれません。もっとも、芸術センス・未来視点が要求される建築の世界は大変な能力が要求されることも記述しておかなければ…数値・資格では測れない【天分の才】がもっとも要求される理系分野ではなかろうかと思う次第であります。
