新しい季節の始まりには、新しい志を持って歩みたいもの。立冬も過ぎて、いよいよ夜風が体に刺さるくらいになってきました。僕自身も、将来のことで色々と変なものを自らの手で刺してしまっている状況です。改めてflexibleな心を持つこと、相手のことを思うことの大切さを感じた次第であります。え?失恋?あたって砕けてなんぼです、人生は!
さて、寂しい夜長を癒してくれる「ほっとココア」を飲みながら、のんびり桑田さんの歌に心を慰めてもらっている、冬の河原に体育座りする姿がやたらさまになるオトコ、えびすが紹介する一冊はこちら。
近年の社会起業家の活躍には目を見張るものがある。3年ほど前までは、社会起業家という言葉が耳に入ることなど、ほとんど無かったように記憶している。3年前といえば世界経済が絶好調に突っ走っていた時代であり、社会貢献・弱者救済などに「かまってられない」環境だったのだろう(と私は勝手な解釈をししている)。とりわけ、一般大衆の人々の経済危機前後における社会起業家に対する眼差し・注目は大きく異なるのではなかろうか。自身が厳しい身におかれた状況にあって、弱者の立場にちかいポジションに立つに至って、初めて社会起業家の存在意義なるものを理解することができたのかもしれない。もちろん、メディアの効果が最も大きいのは承知の上である。
さて、社会起業家がたくさん生まれるのは喜ばしいことである。世の中に「良いことをしよう」という熱い思いを持つ人がたくさん現れれば、社会もより住みやすく、協同しようという気概が生まれやすくなるに違いない。どこで発生したかもわからないほどの小さなはばたきが、世界を変えうる大きな風に変わりうる可能性など皆無だと誰がいえようか。偉大な先達はみな小さなはばたきからスタートしたものである。今日の社会企業の5年後の姿を頭の中に思い描いてみよう…1から3へ、3から10へ、10から100へ…世界を変えるまでに成長した姿を想像すると、自然と頬が緩むものである(少なくとも私はそうだ)。
良いことは続けたい。この事業を持続できればもっと世界はよくなる…ここで社会起業家に一つ目の壁が立ちはだかることとなる。その壁とは「継続性と収支」である。世間の中には「社会企業なるものは利益を求めない団体(NPO)だろ。お金を儲ける・有料でサービスを提供するなどといったことは言語道断の行為だ!」という観念をもっている人もいると聞く。ここまでいかなくとも、多くの人はお金を徴収するというモデルに対して、いささか抵抗を抱いているのが現状だ。
そんな中、NPO法人Table For Two(以下TFT)代表である著者が打ち立てた経営モデルは異彩を放つ。経営モデルとして彼が提唱したのは、「お金を全く貰わずにサービスを提供するのではなく、小額のお金を消費者から頂いて、そのお金を貧しい国への寄付や自身の社会企業の運営資金に当てる」というものだ。会社での食事一食あたり20円を半強制的(自由意志でプログラムが提供する食事を選択できる)に徴収するプログラムを大企業各社で展開している。
ビジネス畑出身の筆者が企業に歩み寄るテクニックは勉強になる。CSR部門なら「どれだけおおくの従業員が社会貢献に参加できるか」を強く出し、人事部の場合なら「メタボ対策」、総務部なら「給食会社との価格交渉の請負」をする等、TFTのプレゼンス内容を各々の部門が「触手を出し」やすい形に変えていく。相手側のメリットをしっかりと考えることで、採用の確立もぐっと上がり、お互いにwin-winの関係を築くことができる。
「ビジネスとしての社会企業」という言葉ほど、TFTが提供する事業内容に適した言葉は無いだろう。企業運営を寄付に頼ることなく、なおかつ社会貢献に繋げられるビジネスモデルが日本から生み出されたのはとても有意義なことだ。今後、世界中で本プログラムが展開され、一つの成功モデルとして確立されれば、日本社会でも「職業の一つ」として社会企業が認知されるようになる、そんな気がしてならない。
※本書を読んだときの衝撃はかなりのものでした。社会貢献とビジネスをつなげる方法など、到底思いつかなかったのですが、本書を読んだ後に「あぁ、こんな展開の仕方があったのか」とひどく納得させられてしまいました。無理なく・持続的に・多くの人を巻き込むためにはどうすればいいのだろうか?とりわけ、社会企業が取り扱う事業内容は短期間で効果が出るようなものではありません。持続性を持たせる、そのためはどういったところからお金を集めてこればよいのか…今後、多くの社会企業がTFTのようなビジネスベースの事業モデルを導入し、持続性を持った運営ができるようになると、よりすみやすい社会ができるのではないでしょうか?「綺麗ごとばかりいってんじゃねぇ」としばしば言われるのですが、「綺麗ごとが無い」=「綺麗ごとが普通」な世界を作って生きたいものです。あ、希望じゃ駄目だ、作っていきます!
