さて、幸せの形とはなんぞやと友人に問い詰めて、お前はなんでも考えすぎなんだよとたしなめられつつもやっぱりあれこれ思考を巡らせてしまう、歩くロダンことえびすが紹介する一冊はこちら。

私の宇宙物理の知識は高校生で止まっている。いや、正確には高校生で学んだ内容の多くを忘れてしまっていることを考えれば、中学校で止まっているといっても間違いではないだろう。若い頃に詰め込んだ知識というものは、しっかりと復習しないとどんどん見知らぬ世界の果てへと進んでしまう。「今、ここ」に引き止めておくためには、相当なエネルギーを費やして引き止めるための力を生み出す必要がある。エネルギーの力への変換効率は年齢と反比例の関係にあるのは良く知られるところだろう。若い頃から、エネルギーを生み出すことに億劫にならず、それを力に変換する経験をたくさん積んできた人はどうやら大成する傾向にあるようだ。少なくとも、私知る限りではその法則が当てはまること、しばしばである。
エネルギーは力に変換される…この法則は物理の世界でしばしばお目にかかるところである。高いところからある物体を落とすと、その物体は位置エネルギーを失い、速度エネルギーを持つこととなる。ニュートンの万有引力によって地球の中心に吸い寄せられる力が働いているから起こることである…みなご存知のエネルギー保存則である。さて、このエネルギー保存の考え方こそ、本書の核として理解しておきたい事項であること、念を押して述べておきたい。ニュートンの古典物理を基とする特殊相対性理論の公式『エネルギ=質量×光速×光速』と『エネルギー保存則』をしっかりと頭に入れて置かないと、路頭に迷うこと請け合いである。
さて、本書の内容を少し紹介していこう。私が最も興味を抱かされたのは、素粒子の種類とその重さについてである。素粒子は粒子の基、つまりは原子の基であるわけだが、どうやらそれにも様々な種類があるらしい。本書では12種類の素粒子について、それぞれの特徴をわかりやすく説明してくれている。ど素人の私が説明するのもなんではあるが、次のようにイメージしていただければよいのではなかろうか。・・・宇宙殿が歳を重ねるつれ素粒子君も歳を重ね、若かりし頃の素粒子君の体重は相当に重かったのだが、歳を重ねるにつれ次第に軽くなっていった・・・という感じであろう。
これ以上小さくすることが出来ないといわれる素粒子、その質量に違いがあるということは理解に苦しむところだが、これは実験を経て確認されてた事実だとのこと。そして、実験と理論の誤差がまたもの凄く小さい…しばしば想うのだが、幾多の分野にわたる『理論式』を最初に考えた学者は真の天才であろう。
しばしば素粒子の世界を取り上げた書籍と出会うと、私のような凡人の頭には理解できない点が多々出てくるのだが、本書では著者の筆力に助けられ、何とか路頭に迷うことなく(とは言っても疑問点がいたるところで噴出したのも事実であるが)読み終えることができたように思う。興味をそそりつつ、上手く素粒子の世界に誘う筆者の心遣いには、感謝感謝の思いで一杯だ。宇宙について、一歩深い理解を得たい人にはもってこいの一冊であること、自信を持って断言する。
※いやはや、久しぶりに読み応えのある書籍に出会いました。素粒子の世界から、暗黒物質、宇宙の始まりにまで話は展開していくため、この世界のど素人である僕は、何度も何度も前のページを振り返らざるをえませんでした。が、めんどくさがらずに何度も振り返れば、壮大な宇宙観を学ばせていただくことができます。いや、本当に宇宙は深いです・・・。本書を読み終える頃に、物質では測定できない世界の存在を頭に思い描く人も多々いらっしゃるのではと思った次第です。パラレルワールドではなく、全くの異世界・・・物質の概念では捉えきれない世界がある・・・と考えてみたり。素粒子の理解以上のものを本書からいただくことができたのは本当に幸運でした。心より感謝いたします。