2011年1月16日日曜日

Do you "go-through" or "go through" the thought of the Past?

今年もはや2週間が経過してしまいました。光陰矢のごとしとは言いますが、歳を重ねるほどに、この言葉の重みを実感している次第であります。あぁ、時間が欲しい・・。と願っても、これだけは叶えられる・叶えてもらえるものでなく…まぁ、仕事を任したり、さぼったりすれば、時間は確保できるんですけど、これにはそれなりの「対価」が必用なわけであり、もちろん、僕にそのような余裕などないわけでありまして…。色んな意味での「パートナー」を見つけることの大切さを実感する日々を送っている次第です。

さて、「愚痴ばかりいっているからもてないんじゃねぇ?」と友人からの厳しい一言を貰いつつ、その友人に対して「減らず愚痴」で応戦してばかりいるどうしようもないオトコ、えびすが紹介する一冊はこちら。

商品の詳細

世俗という言葉はどこか響きがいい…と感じるのは私だけかもしれない。その気取りのなさによって、どこか高慢・諂い・といった概念をとっぱらってくれるからだろうか?この世に俗すモノ…というと語弊を招くかもしれないが、俗の立場に立って、素晴らしい過去の遺物を一つ一つ分析・応用する「姿勢」を持つことは、彼らの思想を「本当の意味」で解釈するに大切なことだろう。彼らの思想の意をただ汲み取るだけではもったいなく、その意を「今、この瞬間」に照らし合わせ、偉人が見逃した・予測し得なかった事象は何か、そしてそれがどのように社会に影響を及ぼしたのかを理解してこそ、彼ら偉人の思想を活かすことができる。この点に立つと、俗の世界から彼ら偉人の思想を見ることは非常に有益なことであること理解されよう。

さて、本書は経済学の分野に関し、惜しみない骨折りと素晴らしい省察を持って著された一冊である。アダムスミスの『道徳感情論/国富論』に始まり、リカードの『経済学原理』、マルサスの『人口論』、マルクスの『資本論』、ウェブレンの『有閑階級の理論』、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』と歴史に名を残した経済学者の思想を順を追ってたどっており、大変体系的にわかりやすい。ここにあげた各論とも、内容は申し分ないのだが、いかんせん初学者には(もちろん私もその一人である)理解に苦しむところも多々あること間違いないだろう。そこで、お勧めしたいのが、本書を一読してのち、各論を読み込んでいく方法だ。贅沢をいえば、それぞれの経済学者の思想の特徴をカテゴライズ化したシートを片手に読まれると(思想の深いところまでを自身の言葉で落とし込んだもの)、内容理解は一層堅くなるであろう。

ざっくりと本書の活用方法を少し紹介したところで、早速その内容を少し紐解いていこう。が、例のごとく、本書の論全てを紹介する余裕もないので、その中の一つ「マルサスの人口論」に絞って紹介したく思う。人口論が世の中に出回ったのは、1798年のことで、アダムスミスの国富論が出版されてのち22年が経過していた。本論文は、学者・一般諸国民の間でもてはやされていたスミスの国富論に対し、現実世界の「厳しい矛先」を突きつける形になったようだ。その矛先の内容とはいったいどういったものであったのか?

国富論は、諸国民の繁栄の過程を事細かに記した書籍であり、多くの国民・学者はその展望に対して希望の光を見出していた。これに対し、人口論は資源・土地の有限性および、人口増加に対するそれらの開拓のスピードの遅さ・繁殖の不可能性を取り上げ、諸国民の富の過程で必要となる「人口の増加による富の創出」は実現しえないことを明らかにした。「人間の繁殖」は性行為を重ねれば、半永久的にその数を増やしていくことはできるが(過剰生殖による淘汰は起こらないとして)、地球に存在する土地は「交配」することはできず、自らが新たな土地を生み出すこともできない。べき乗則(指数関数的に)で増加する人口は、10年で10万人が1億人にもなりうるが、土地においてはその有限性・開拓困難性があるためこの法則が当てはまらない。

18世紀末に世に送り出された人口論であるが、この論はそのまま現在の世界にも当てはめることができよう。ピークオイル、食糧危機問題、レアメタル枯渇問題etc。全ての問題の根源に、しばしば「世界人口の多さ」が垣間見られるのは偶然ではなかろう。GDPGNP等、様々な経済指標が世の中に生み出されてきたのだが、果たしてそれらの指標の増減が意味するところは何か?資源の有限性と土地の有限性とを鑑みたときに「経済繁栄」がもたらすものが何かについて、今一度考え直したいところである。

※アダムスミスから、ケインズまでの経済学発展(?)の歴史を綴った本書。一読していただければ、高名な経済学者たちがどういった背景の下で各々の思想を書き残したのかを容易に理解することができると思います。文章の平易さもさることながら、内容の展開過程が大変興味をそそる形で書かれているので、それほど苦にならないはずです。実経済がどう動いていたのかを照らし合わせつつ読みたい人には「長い20世紀」も同時平行で読まれるといいかと思います・・・両書籍とも結構分厚い書籍ではありますが、その「対価」は存分に得られるのでしょう・・・本当に大変ですけれどね。